半導体以外で狙うWeb3関連株の見つけ方と投資戦略:ソフト・サービス領域に視点をずらす

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投稿日:2026.02.19
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Web3は、ブロックチェーンを基盤に「デジタル上で価値を直接やり取りできる」インターネットへの進化を指します。投資の現場では、GPUやメモリなどの「半導体」が注目されがちですが、実はその上で動くソフトウェアやサービス、金融・セキュリティ・クラウドなどの周辺事業にも、成長の受け皿が広がっています。本稿では「半導体以外」のWeb3関連株に的を絞り、どの分野が伸びやすいのか、どんな指標で評価すべきか、そしてどのようにポートフォリオを組めばよいかを、実務目線で解説します。

重要なのは、話題性ではなく「持続的な収益モデル」と「規制対応力」、そして「ユーザーの定着」を見極めること。値動きの大きいテーマだからこそ、定点観測に耐えるチェックリストを持つことが、結果的に大きなドローダウンを避ける近道になります。

半導体以外のWeb3関連株の全体像:どのレイヤーが株式の果実を得やすいか

Web3の価値は、ハードウェアだけでなく、アプリケーション・金融サービス・セキュリティ・クラウド基盤・規制対応ツールなど多層に広がります。株式市場で恩恵を受けやすいのは、手数料・サブスク・保管料・B2B契約など「キャッシュが見えやすい」層です。トークン価格に連動しやすいビジネスでも、収益化の設計次第でボラティリティを抑えられます。

除外基準(半導体以外にこだわる理由)

半導体は供給網・投資サイクル・価格弾力性の影響を強く受け、Web3需要と切り分けにくい側面があります。ここでは、GPU・メモリ・ファウンドリ・製造装置などの銘柄を意図的に外し、ソフト・サービス・金融インフラ・セキュリティ・クラウド・データ関連など、上位レイヤーを中心に検討します。これにより、テーマ純度(Web3からの直接収益寄与)と決算の透明性を高め、評価軸を明確化できます。

主なビジネス領域(半導体以外)

  • 暗号資産の取引・決済・保管:取引所、ブローカー、清算、カストディ、決済ゲートウェイ、オンランプ/オフランプ
  • ウォレット・ID関連:セルフカストディ/カストディ型ウォレット、アカウント抽象化対応、DID(分散ID)
  • NFT・ゲーム・メタバース:マーケットプレイス、IPライセンス、ゲーム内経済の運営・分析
  • ブロックチェーン開発支援:ノード提供、API/SaaS、スマートコントラクト監査、デベロッパーツール
  • セキュリティ・コンプライアンス:取引監視、AML/CFT、トラベルルール、鍵管理(MPC)、保険
  • データ・分析・インデックス:オンチェーンデータ可視化、投資インデックス、リスクスコアリング
  • クラウド・ネットワーク周辺:ノードホスティング、CDN、ストレージ、分散インフラ運営支援

これらの領域は、それぞれ収益化の仕組みが異なり、景気や相場のサイクルとの連動性も変わります。たとえば取引関連は出来高敏感ですが、B2Bの監査・SaaSは契約継続率に支えられやすい。投資家はポートフォリオ内でこうしたサイクル感の違いを組み合わせ、全体の変動を均しやすくできます。

マクロ環境と規制・技術トレンド:地合いを読む三つのレンズ

需要ドライバー:送金・貯蓄・エンタメ・所有権

グローバル送金の手数料削減や、24時間365日稼働の決済レール、クリエイターの収益化、ゲーム内資産の所有権など、Web3の導入理由は実需に近づいています。特に新興国の送金・決済は、為替・手数料・速度の三拍子で従来網を代替できる余地があり、決済ゲートウェイやオンランプ事業者の伸びを後押しします。エンタメ領域では、NFTを用いた会員権や二次流通ロイヤリティの再設計が進み、プラットフォームの手数料ビジネスに広がりが出ています。

規制・会計の流れ:参入障壁と信頼の源泉

規制は短期的なヘッドラインリスクになり得る一方、長期では参入障壁として機能します。顧客資産分別管理、ライセンス取得、ステーブルコイン規制、証券性判断、会計処理(デジタル資産の評価・減損・開示)などに早期から投資している企業は、機関投資家の受け皿になりやすい。IR資料や決算で、規制の進捗・監査法人の意見・内部統制の整備状況を明確に示す企業は、ボラティリティ局面でも資金が逃げにくい傾向があります。

技術トレンド:スケーリングと安全性の両立

レイヤー2やゼロ知識証明の実装、アカウント抽象化による使いやすさの向上、MPCを用いた鍵管理、DIDによるKYC簡素化、RWA(現実資産のトークン化)やDePIN(分散型インフラ)の商用化など、実装系の進歩は「コスト低下」と「UX改善」を同時に推し進めています。株式投資の視点では、これらを企業の収益モデルにどう反映できているか——たとえばL2対応で手数料率を維持しつつ決済単価を引き下げ、総取引額(GMV)を拡大しているか——を確認したいところです。

収益モデルと評価の考え方:決算でチェックすべきポイント

半導体以外のWeb3関連株は、出来高依存の「手数料モデル」と、継続課金の「SaaS/サブスクモデル」、さらに預り資産や信用供与に紐づく「利ザヤ・保管料モデル」に大別できます。評価の起点は、どの比率で売上が構成され、ボラティリティにどう耐えるかを見極めること。相場が落ち着いても積み上がる収益が厚いほど、マルチプルの安定が期待できます。

主な収益化の型

取引・決済はスプレッド/手数料、ウォレットや開発支援はサブスク/MAU課金、セキュリティやコンプラはB2B契約、NFT/ゲームは一次・二次流通のテイクレート、データや分析はAPI課金やエンタープライズ契約が中心。カストディは保管料や有価証券同等資産の運用利回りを背景に利ザヤが発生する場合があります。複合モデル化が進む企業では、逆風時にディフェンシブな柱(B2B/SaaS等)がどの程度カバーできるかが鍵になります。

評価で見る具体指標

  • 売上構成と質:手数料/サブスク/利ザヤの比率、ARPU、テイクレートの安定性
  • 成長の持続性:ARR/NRR、解約率、コホート収益、エンタープライズ契約の継続年数
  • 市場感応度:出来高弾力性、相関資産(主要トークン・ボラティリティ指数)との連動度
  • リスク管理:規制ライセンスの範囲、分別管理、セキュリティ監査、インシデント開示
  • 単価低下への対処:L2対応によるコスト構造の改善、スケールによる粗利の維持
  • キャッシュ創出:営業CF/フリーCF、株式報酬の希薄化影響、自己資本規制対応の余力

これらは決算説明資料やIRの補足情報から把握できます。特にテイクレートやNRR(既存顧客からの増収)は、景気や相場の波を超えて企業の「設計のうまさ」を示す重要な手掛かりです。サイクル中盤以降は、売上高の伸び率だけでなく、粗利率と販管費のレバー、プロダクトミックスの変化も合わせて確認しましょう。

銘柄発掘の手順とポートフォリオ設計:テーマ純度と分散のバランス

スクリーニングの流れ

まずは「半導体以外」でWeb3売上の寄与が明確な企業を一次抽出します。具体的には、決算資料で「ブロックチェーン」「デジタル資産」「カストディ」「オンチェーン」「トークン化」「ウォレット」といったキーワードが四半期ごとに継続的に現れ、かつセグメント売上や主要KPIが開示されているかを確認します。次に、収益モデル(手数料/SaaS/利ザヤ)ごとにグルーピングし、出来高依存度の高い銘柄とB2B/SaaS中心の銘柄のバランスを検討。最後に、規制対応・監査・内部統制の開示水準で優先度を整えます。

情報源の使い分け

IR(決算短信・プレゼンテーション・年次報告書)でセグメントKPIと規制対応の詳細を確認し、開発者カンファレンスや製品ロードマップで技術の方向性を把握します。決済ゲートウェイやAPI/SaaSは、ドキュメント更新頻度や稼働率SLA、導入実績の広がりが信頼性の目安です。ウォレットやカストディは、鍵管理(MPC等)、障害・流出事案の履歴、保険の有無、監査報告の公開有無をチェックします。NFT/ゲームは、一次・二次流通のGMV推移やロイヤリティ方針、IP提携の継続性を重視しましょう。

リスク管理とヘッジの考え方

テーマ株はニュースに敏感です。価格急変や規制ヘッドラインに備え、イベントカレンダー(規制発表、アップグレード、主要会議、決算日程)を持ち、ポジションサイズを段階的に調整します。出来高敏感銘柄は上げ相場でリターンが伸びやすい一方、下げ相場での痛手も大きいため、B2B/SaaS・セキュリティ・データ系でクッションを用意。さらに、単一プロトコルや単一地域への依存が高い企業は、地政学・規制のリスクが集中しやすい点にも注意が必要です。

ケーススタディ風の視点(仮想例)

たとえば、出来高連動の取引・決済企業A、B2B中心のコンプライアンスSaaS企業B、カストディ/利ザヤの企業C、開発者向けAPI企業D、NFT/ゲームのプラットフォームEを組み合わせると、相場の波に対して「伸びる局面のブースター」と「下支えのディフェンス」を併せ持つ構図が作れます。Aはボラ相場で収益を伸ばし、B/Dは契約継続でベースを守り、Cは金利と預かり資産の増減で粘り、EはIPやイベント駆動でスパイクを狙う。ウェイトは相場観に応じて可変とし、決算のたびにミックスを見直す運用が有効です。

また、レイヤー2対応やアカウント抽象化などの技術採用が進む企業は、コスト低下とUX改善をテコにシェア獲得の加速が見込めます。逆に、規制違反やガバナンス問題、セキュリティ事故の開示姿勢が不透明な企業は、リスクプレミアムが恒常的に上乗せされ、バリュエーションが伸びにくくなります。投資判断は、成長率と同じくらい「信用の積み上げ」を評価軸に据えることが肝心です。

まとめ:むずかしい言葉を使わずに要点をそろえる

半導体以外のWeb3株は、ハードではなく「使われ方」で伸びる会社を選ぶのがコツです。取引の手数料で稼ぐ会社、毎月の契約で収入が続く会社、資産を預かって手数料と利回りで稼ぐ会社など、稼ぎ方はさまざまです。大事なのは、売上の柱がはっきりしていて、景気が悪くても続く収入がどれだけあるかを見ることです。

規制に強いこと、安全に気をつけていること、使いやすさを上げる工夫を続けていることもチェックしましょう。書類や決算で数字やルール対応をきちんと説明している会社は、信頼されやすく、値動きが荒いときも持ちこたえやすいです。できれば、値動きに左右されやすい銘柄と、契約で安定した収入が見込める銘柄をまぜて持ち、ニュースやイベントに合わせてゆっくり重さを調整するのが安心です。

目先の話題に飛びつくより、毎回の決算で「売上の内訳」「継続率」「お金の流れ」「安全対策」の4点をコツコツ見ていく。これが、Web3という大きな波の中で、ぶれずに成果を積み上げるいちばんの近道になります。

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